活動報告

西会津町立西会津中学校で公開授業研究会が行われました

11月22日(金)に、福島県西会津町立西会津中学校(校長:五十嵐正彦先生)において、公開授業研究会が開催されました。

この研究会は、ふくしま「実践データ活用」学習指導重点事業の一環として、研究主題「読解力の向上を目指した授業のあり方〜リーディングスキルテストの活用と結果の分析を通して〜」として実施されたものです。

公開授業では、保健体育、英語、社会の3教科で、それぞれリーディングスキルを育むことを盛り込んだ研究授業が実施され、その後の分科会では、参加した教育委員会、各校の先生方を交えた研究討議が行われました。

全体会では、リーディングスキルテストの実施から見えてきた課題と、それを踏まえた当校の取り組みについて研究主任の先生から報告がありました。

最後に、当研究所研究員の目黒朋子と菅原真悟から、リーディングスキルテストの結果に基づいた授業改善に取り組むことが重要であるとコメントしました。

西会津中学校では、リーディングスキルテストによって子どもたちの課題を明確にしたうえで、授業改善にとりくむ実践が根付いてきているようです。

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研究授業を行いました(戸田市立戸田中学校)

 

6月20日(木)、埼玉県戸田市立戸田中学校で基礎的な読解力を高めるための研究授業が実施され、当研究所代表理事・所長の新井紀子がゲスト講師として中学3年生を対象に授業を行いました。 

今回の研究授業は、中学3年生の国語の時間を用いながら理科の授業内容ともリンクする教科横断型の授業です。当授業は、6月11日に板橋区の校内研究会で本研究所研究員の菅原が提示した新井の授業案を、新井自らが実践した形となります。

 今回は、リーディングスキルの「推論(既存の知識と新しく得られた知識から、論理的に判断する)」と「同義文判定(与えられた二文が同義かどうかを正しく判定する)」の2つの能力を育てることを念頭にしています。

 戸田市で採用している中学3年国語教科書(光村図書『国語』)の「月の起源を探る」を教材に、理科教科書(大日本図書『新版 理科の世界3』)を使って太陽系の起源などの知識を確認しながら、批評的読解をするとはどのようなことなのかを学ぶことが目標になっています。

 まず授業では、「月の起源を探る」を読み解くために必要な知識を理科教科書で確認したうえで、万有引力や遠心力について実験を通して理解できるように組み立てました。
それをふまえて、「月の起源を探る」で紹介されている月の起源についての4つの仮設、(1)分裂説、(2)共成長説、(3)捕獲説、(4)巨大衝突説について、教科書に書かれていることをひとつひとつ検証していきました。

 

授業後の協議会では、戸田中学校のRS部会の先生方と戸田市の戸ヶ﨑教育長と新井指導主事も参加されて、どのように子どもたちの読解力高める授業を行えるのか、教科横断型の授業を実施するためにはどのようにカリキュラムマネジメントを行っていったらよいのか、など熱い議論が行われました。

 

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管理職を対象に講演を行いました(板橋区教育委員会)

 

4月4日(木)に板橋区教育委員会で開催された「平成31年度『読み解く力』説明会」において、本研究所所長・代表理事の新井紀子が「『読み解く力』を支える基礎的読解力の育成について」と題して講演を行いました。

1月30日の第3回区長記者会見で発表されたように、板橋区は2019年度から3年計画で全区立小中学校(74校)にリーディングスキルテストを導入し、本テストの実施を通じて子どもたちに必要とされる「読み解く力」の育成に力を入れ、子どもたち一人ひとりの学力定着・向上をめざしています。

「平成30年度第3回区長記者会見」開催(平成31年1月30日)

新井の講演では、最近のAI(人工知能)研究から明らかになった人間とAIの違いをお話し、AI時代を子どもたちが生きぬくためには基礎的読解力を育むことが重要であることをお伝えしました。

子どもたちが自学自習できるようになるためには、RSTの「同義文判定」と「推論」が必須の能力になります。「同義文判定」ができないと、記述式のテストの採点が一人ではできず、先生の模範解答と一言一句同じにならないといけないと思い、すべて書き直してしまいます。また、「推論」ができないと、学んだ事柄をつなぎ合わせて新しい知識を獲得することができず、すべてを暗記していくしかありません。

ただ、RSTはあくまでも診断を目的として開発したテストなので、RSTの結果を良くすることをめざすのではなく、子どもたちが教科書をひとりで読んで意味を理解できることを目指してほしい。それが、公教育の最重要課題であると強調しました。

今回の「『読み解く力』説明会」には、年度初頭にも関わらず全区立小中学校の管理職(校長・副校長)およそ150名の参加がありました。

今回の講演にさきがけ、教育委員会から参加される先生方には事前課題が課されていました。その課題の内容は、「読み解く力」に関して子どもたちがどのような誤読をしているのか、文の理解ができているのか、などの状況について具体例をあげて回答するものでした。

講演のあとのワークショップでは、今回の講演内容をふまえて「学びのエリア」(板橋区では、小中学校の連携を密にするため区立小学校を区立中学校単位に分けて、「学びのエリア」と呼んでいます)の先生方で集まり、持ち寄った事前課題をもとに子どもたちの状況についての報告しあい、小学校6年生までにどのような準備をさせてから中学校に来てほしいのかを協議しました。

ワークショップの後、ある校長先生が、子どもたちの基礎的読解力を育成する必要性について校内で「危機感」を共有していきたいとおしゃっていました。時間は限れていましたが、管理職の先生方の間で基礎的読解力の重要性と子どもたちがおかれている状況についての問題意識を共有していただけたと思っています。

 

 

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研究授業に参加しました(板橋区立板橋第七小学校)

2月18日(月)、板橋区立板橋第七小学校において基礎的な読解力を高めるための研究授業が実施され、当研究所代表理事・所長の新井紀子と研究員の菅原真悟が助言・指導を行いました。

 今回の研究授業は、小学校6年生理科の「電気と私たちのくらし」の単元で行われました。本時の授業のねらいは、電気を蓄えたコンデンサーを豆電球や発光ダイオードにつないで、どちらが長く明かりがついているかを比較することで、発光ダイオードの方が効率的に電気を使っていることに気づくことです。

本時の実験は、黒板に書かれた手順に従って進めていきます。まず手回し発電機を50回まわしてコンデンサーに電気をためます。その後、電気をためたコンデンサーを発光ダイオードと豆電球にそれぞれ接続し、電気がついている時間を調べます。実験の結果を自分なりの言葉でまとめて、そのあとグループで実験から分かったことを話し合います。

 

黒板に書かれた実験手順を読み、どのように実験を進めたらよいかをイメージしながら、手順どおりに実験を行うことは、「イメージ同定」の力の育成につながります。また、これまでの学習内容と本時の実験結果をもとに、どのようなことがいえるかを考えることは「推論」する力を育成することにもなります。

 

このように、発電機やコンデンサーを使った理科の授業は、昔から行われてきた授業ではありますが、けっして古いものではなく、子どもたちがAI時代を生きていくうえで必須となる基礎的読解力を育む授業にすることが出来るといえるでしょう。

 

研究授業のあとの協議会では「今日の授業がどうだったか」という議論が中心になりましたが、新井からは、まず最初に「今日の授業が成り立つ環境づくりができていることが素晴らしい」とコメントしました。

今回の実践校の特色として、さまざまな場面を活用しながら、書くことの指導に力をいれていることがあげられます。その一例として、6年生の児童は、日頃から子ども新聞の記事を100字にまとめ、さらに100字で自分の意見を書くという宿題を行っています。宿題は担任がきちんと確認し、丸付けをして児童に戻すことで、子どもたちのやる気につながっているようです。こうした地道な指導があることで、板書を写すことや、実験結果を文章にまとめることがしっかりでき、今回の授業が成り立つ土台になっていました。

次に、RSTはあくまでも診断をすることを目的に作ったテストなので、RSTに出てくるような問題を解くことを授業でしなければいけないとは考えないでほしいと助言しました。授業において、言語情報と非言語情報を全員が正確につなぐことができているかを、先生方が気をつけて確認することが出来ていれば、それは「イメージ同定」の授業であり、言葉の定義を確認し強調する場面があれば、それは「具体例同定」の授業といえます。

協議会の後、先生方からは「授業をがらっと変えなければいけないのではなく、ちょっとした「意識」を持てばよいとわかってすごく安心した」「良かれと思って作ったプリントの穴埋め教材が、書く力をかえって低下させているのではないかと反省した」などの意見が多く出ました。

板橋区での基礎的な読解力を高めるための研究授業は、今年度は今回が最後となります。研究授業を何度も行う中で、先生方の間に子どもたちの読解力を育成することをひとつの柱として、授業を改善しようという意識が定着してきたように感じられました。

なお、板橋区では、来年度以降も同様の研究授業を行っていく予定です。

 

 

 

 

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研究授業に参加しました(埼玉県戸田市の中学校)

2月6日、埼玉県戸田市の中学校において基礎的な読解力を高めるための研究授業が実施され、当研究所代表理事・所長の新井紀子と研究員の菅原真悟が助言・指導を行いました。

今回の研究授業は、中学2年生の数学を対象に、「にせの定理をさがせ」という題材名の元で行われました。

今回は、リーディングスキルの「推論(提示された文から推論することで、新しい知識を獲得できる)」と「具体例同定(概念または用語の定義を読み、それがどのような状況にあてはまるかを具体的に認識できる)」の2つの能力を育てることを念頭に、A)にせ定理をさがすことができる、B)定理が正しいことを説明できる、ことを目標にしました。

今回の授業では、リーディングスキルテストの受検結果から、具体例同定の結果が低い生徒がそれなりにいることが分かっていたので、必ず定義に立ち返って考えること(具体例同定(理数)の力)が重要であることを意識させました。

 そのうえで、「0は偶数である」「3の倍数は必ず6の倍数になる」といった定理の真偽をクラス全体で考えました。その中で、指導者より定理の真偽を考える際には、必ず定義に立ち返って判断することが重要であることが強調されました。

 その後、グループに分かれて3つの定理「①連続する2つの整数の和は奇数である」「②素数はすべて奇数である」「③6の倍数は必ず3の倍数になる」のうち、正しい定理はどれか、どれがにせ定理なのかを、主体的・対話的で深い学びを通して考える活動を行いました。

授業後の協議会には、市内の小中学校の先生方およそ30名が参加しました。その中で、今回の授業をふまえてどのようにリーディングスキルを高めることが出来るのか、戸田市で導入しているリーディングスキルテストの結果を個々の指導にどのように活かしていけばよいのか、といった議論が活発的に行われました。

協議会の議論を踏まえて、本研究所所長の新井からは、暗記ベースの学習から推論ベースの学習へとシフトさせることが重要であると助言を行いました。また、本時の授業内容は、中学1年生になった時点で、全員ができているべきことだが、実際にはそうなっていなかったことが分かったことにも意味があった。中学校の段階で、推論と具体例同定の能力をきちんとの身に着けることを目指してほしい。推論能力を身につけられるかどうかで、子どもたちのその後の人生が大きく変わるといえるので、何度も学びなおす機会を設けることが重要であるとコメントしました。

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